ふじいち 懐石料理店

グルメ

誕生日の夜を一緒に祝ってくれる友達が居ないので、思い切って一人で日本料理店に行こうと思った。この日向かったのはJR鹿児島本線の黒崎駅を出て、徒歩5くらいで着く懐石料理のお店だ。

黒崎は江戸時代には長崎街道の重要な宿場町として整備された。明治時代には門司ー黒崎間の鉄道の開通に伴い、黒崎駅が開業した。大正時代以降は企業城下町として発展し、商工業都市となった歴史を持つ。駅横には井筒屋という小倉に本店を構える百貨店の黒崎店のビルが立っているが、2000年12月25日に閉店してそのままになっている。今の黒崎はかつての繁栄が垣間見えるディープな街という雰囲気がした。(Wiki調べ)

さて、コースの取り扱いのみだったため当日の夕方にダメ元で20:00〜1名で予約した。たまたま了承してもらえたが、もっと早めに予約した方がいいのかもしれない。また、日本料理店は1名だと断られることも少なくないらしいが、「ふじいち」は1名でも歓迎だそうだ。コース料金は¥12,100と大学生の私にとってはかなり高めだったが、誕生日だし贅沢していいよねと財布の紐が緩くなってたのもあって奮発した。

お店に入るとカウンターのみのシンプルな内装で3人組のお爺さま方が先客でいらした。水で膨らむおしぼりをもらい、瓶ビールを注文した。1人でこのような料理店に行くのが初めてだったが、店主が気さくな人でたくさん話を聞けてとても楽しかった。懐石料理は茶事でお茶を飲む前に亭主のおもてなしによって出される、ちょっとした料理のことを指す。私も大学で茶道部に所属しており、外部からお呼びしている先生にご自宅での茶会に招いていただいて、懐石をご馳走になった経験があった。店主も茶道をされていて、先客のお爺さま方も店主とは茶道での繋がりがある方だったので話に花が咲いた。お爺さま方から朝日酒造の「洗心」という新潟県の日本酒を飲ませていただいた。熱燗ではなく店主の勧めでぬる燗でいただいた。日本酒をあまり飲んだ経験がなく、なんとも形容し難かったが自分にはもったいないくらい美味しかったのだと思う。ここで茶道の経験が活きるとは思いもしなかった。出会いは突然だ。

・ヒト品目

ヒラメの刺身。つゆについては聞けていないが、恐らく白だしとみりんベースだったと思う。上に乗っているのはオカヒジキと柚子胡椒。この時期のわさびは細くて良くないからと店主の判断で柚子胡椒にしたそうだ。柚子胡椒とヒラメの歯応えある白身とほんのり甘くあっさりしたつゆの相性が抜群に良かった。オカヒジキはシャキシャキしてクセのない味わいでなんともない野菜だったがアクセントとなって料理を引き立ててくれていた。

オカヒジキは古くから食用に利用されてきた野草で、日本全国の日当たりの良い海岸や砂礫地、塩生地などに自生し、野菜としても栽培されるヒユ科オカヒジキ属の1年草。カロテンやカリウム、カルシウムなどの栄養素を豊富に含む。アクを抜くために2分ほど茹でて、おひたしや和え物、酢の物、天ぷらなどに利用される。(Wiki調べ)

・フタ品目

ハマグリの煮物椀。筍とインゲン豆が一緒に盛られていた。味噌などの調味料は一切使わず、貝の出し汁100%でこの様な白濁色になっている。ハマグリの旨みに驚かされた。ハマグリは大ぶりで食べ応えがあった。

懐石料理においては、この煮物椀はとても重要な役割がある。出汁の香り・旨みが重視され、その店の力量が最も試される一品だ。コースの中でも最も格式が高い料理なので1番予算をかけているという面白い話を聞かせてもらった。

・サン品目

あこう鯛の塩焼き。すっごく甘く、最初は味噌が塗られてるのかと思った。店主から塩焼きと聞いて驚いた。焼き始める30分前にポテポテと置くように塩をふるという。身が厚い部分と薄い部分は自身の経験により調節する。この工程によりプリップリで甘く、微かに塩っ気のある繊細な味わいとなる。皮はパリッとしてて身はプリップリだった。皮の切れ込みの入れ方で変わり、切れ込みの入れ方も色々ある。

お弁当や定食の塩焼きの魚は焼く直前に高濃度の塩水に漬けるから塩っ辛くてご飯とよく合う焼き魚になる。

・ヨン品目

南瓜とフキの炊き合わせ。食べ慣れた西洋カボチャではなく、日本南瓜で素朴な味わいだった。砂糖は使用していないが、奥にある甘さがじわーっと感じられた。じっくり火を通し、出汁と組み合わせることで南瓜の旨みが引き立つ。今日店主と話してて、料理は滅茶苦茶に化学だと感じた。

・ゴ品目

ソラマメ。会話に夢中になっていていくつか食べてしまった後に写真を撮ったので少し乱れている。ソースはゴマ、出汁、醤油。ソースがとてもクリーミーでゴマ豆乳の様なコクと旨み。ソラマメとゴマのソースがとてもマッチして美味しかった。ソラマメの独特な臭みもソースのゴマの香りが広がってマイルドに包み込んでくれていた。

・ロク品目

ここで待ちに待ったご飯と留め椀と香の物。留め椀は茄子の味噌汁だった。香の物はちりめんじゃこと山椒のふりかけだった。よく京都のお土産とかにあるやつだ。味噌は白味噌と信州味噌の合わせ味噌を使用しており、濃厚でとろ〜っとした味わいでご飯が進んだ。時間を置いても味噌の濁りが凝集しないのが特徴だった。味噌は季節によって合わせ方が異なり、味もだいぶ変わると言う。また季節をずらしてこの店に来たいと思えた。

・ナナ品目 お茶菓子 :氷壺/湖月堂

・ハチ品目 薄茶

 薄茶でコースが終了した。料理はもちろんだが、店主・お爺さま方との楽しい会話や、料理人に尋ねながら食を愉しむ経験でコース料理の価格以上の価値を体験できた様に感じた。また訪れたいと感じた。素材の味を楽しみたい人や日本料理が好きな人には是非お勧めしたい。

ふじいち 

〒806-0022  福岡県北九州市八幡西区藤田3丁目4−16

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